「釣りとコンサドーレ」
釣りと魚のよまやま話@ ヤマミチ・マサカツ
(ウイング サッポロ 2008年2月号掲載に一部加筆)
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北海道アングラーズペンクラブ 【2008年記事一覧】「釣りと環境問題」釣りと魚のよまやま話Cヤマミチ・マサカツ(ウイング サッポロ 2008年5月号掲載に一部加筆) 前門の虎、後門の狼 野鳥のくちばしに釣り糸が巻きついて、餌を食べることができなくなった哀れな姿が、時々テレビなどに取り上げられる。「釣り人のせいだ!」と槍玉に上げられる。「港などでゴミを散らかす」と漁業者も訴え続け、監督官庁の水産行政からも釣り人は困った存在と睨まれる。これが前門の虎とすると、後門の狼は環境省だ。本州でのブラックバス問題では、外来生物排除という環境省に、釣り人や釣り業界(北海道にはブラックバスがいない)が痛い目にあった。北海道でも、最近はイトウの保護など、環境問題絡みで釣り人への締め付けが厳しくなりつつある。一般のマスコミも北海道の基幹産業である水産業界には同情的だが、釣り界に対する論調は総じて厳しい。実際には漁業者から出るゴミも多いし、漁網に絡まって死んでいる海鳥もけっこうな数だろう。道路で車に撥ねられて死んでいる狐はニュースにならないが、釣り糸が巻きついてもがいているとニュースになり、バッシングされる。マスコミからの側面攻撃である。というわけで、大多数は健全で善良な釣り人でもあるにかかわらず、悪者にされ叩かれ続けているのである。そんな中でもちろん、釣り業界や釣り団体などが手をこまねいてばかりというわけではない。それどころか、私が所属する(財)日本釣振興会では環境問題は最重点課題として専門委員会を設置し、清掃活動、釣り人への啓発活動など、今まで以上に積極的に取り組んでいる。釣り具メーカーで組織している姉妹団体の(社)日本釣用品工業会でも、環境に優しいエコ釣り具の開発に取り組んでいる。エコ釣り具とは、水中で微生物によって分解する釣り糸やルアーなどである。今まで釣り糸に使われてきたナイロンなどの樹脂製品は、水中で分解しなかったので画期的だが、やや強度が落ちるなどの欠点もある。販売されるようになって、まだ10年ほどである。ナイロン釣り糸は戦前からあり、強さにひかれて釣り人が慣れ親しんできただけに普及には時間がかかると思われるが、釣り業界も努力しているのである。
おもりは鉛から鉄製へ
北海道の北斗市に本社・工場がある(株)フジワラは、オモリメーカーとして全国に販路を広げていることで知られている。ここの藤原社長とは、日頃から親しくさせていただいているが、日本釣用品工業会の環境対策の中心メンバーでもある。オモリの主原料は鉛だが、これを鉄などの製品に変換しようと積極的に取り組んでいる。鉛は鉄よりも重く、加工しやすい。しかも安価だったから、オモリに使われてきた。しかし、有害物質であり(とはいっても、それで釣り人が病気になったり死亡したりというわけではない)、最近は価格も高騰し、鉄より高くなってきたという。鉄は鉛に比べて軽いので、同じ重さだと体積が大きくなり、水中での抵抗も大きくなる。フジワラでは、イカ釣り機などに使用する漁業用のオモリも作っているが、オモリが早く沈まないと漁獲量にも影響するわけである。そこで、産学官の共同研究により、鉄の一種で鋳物の材料となる鋳鉄(ちゅうてつ・鉄と炭素などの合金)製のオモリを開発。早く沈み、しかも環境に優しいということで、グッドデザイン賞など数々の賞に輝き、マスコミにも度々登場している。さらに、この秋には、新しい装置を導入し、釣り用として鉄100パーセントに近い製品も売り出す予定で、ますます脱鉛にシフトしつつある。「デンマークでは、鉛製のオモリはすでに禁止されています。ほかにも禁止となった国が数カ国あるようです。家電製品などの部品にも使用できなくなり、脱鉛化は国際的な流れでもあります」と藤原社長は、新製品の普及に自信をのぞかせる。釣り用のオモリは鉄製が当たり前となる日は近いかも知れない。ちなみに藤原社長の名前は「鉄弥(てつや)」という。
釣りと魚のよまやま話B ヤマミチ・マサカツ
(ウイング サッポロ 2008年4月号掲載に一部加筆) ナショナルやクレラップの会社も釣具製造
2月8日(金)〜10日(日)の3日間、横浜の催事場パシフィコ横浜で、日本の釣り業界最大のイベントである「国際フィッシングショー2008」が開催された。今年で13回目となるこの催しは、全国の釣具メーカーでつくる(社)日本釣用品工業会が主催。春の釣りシーズン開幕に向けて、釣具メーカー各社がブースを設置して新製品を一斉に発表する。出展者は約160社の企業や団体で、中国など外国からも参加している。展示内容も釣具だけでなく、ボート、自動車、NPO法人阿寒観光協会づくり推進機構やマレーシア政府観光局など内外の観光関連団体、漁協、釣り関連出版、釣り専門学校、魚拓、サングラスメーカー、水産庁など実にさまざまで、釣り界の奥行きの広さを示している。釣具メーカーのブースにしても、松下電器産業や、クレラップでおなじみのクレハ(旧社名は呉羽化学工業)など大会社の社名もあり、釣りをしない人にとっては何で?と思うことだろう。ナショナルでは、夜間に使う電池で光るウキ(電気ウキ)や、釣り場で足元を照らしたりするキャップライトなどを作っているのだ。クレハは「シーガー」や 「リバージ」のブランドで知られる高級釣り糸を作っている。 会場ではファミリー向けの釣り堀や金魚すくい、マグロの解体ショーなども楽しめることから、毎年楽しみにしているファンも多く、今年は有料入場者だけで5万9918人(当日券1200円、中学生以下は無料)を集めた。前年比107.4パーセントで、関係者はウハウハである。この1週間前には、大阪でもやや規模が劣るが、大阪釣具協同組合が主催するフイッシングショーが開催され、こちらも、前年より3パーセント増の4万5911人を集めて盛況だった。毎年恒例のこの東西のフィッシングショーが開かれると、釣り人は春はもうすぐという気分になるのである。 2000億円を切った釣具の市場規模 とまあ、一見景気がいいように見えるが、釣具の国内市場規模は、(財)社会経済生産性本部「レジャー白書2007」によると2006年まで9年連続でマイナス成長で、2006年は1970億円となっている。97年には2950億円だったが1000億円も減ってしまったのだ。一説には市場規模が2000億円を切ると、まともな意味での“業界”とは、もはや呼べなくなるそうだ。ただ、そんな中でも年間の釣りに使う平均費用は5万3600円で前年比1万2600円増(同レジャー白書)と、釣り人一人一人については活動が活発になっていることをうかがわせるなど、明るい材料もないわけではない。 釣具メーカーは、上場会社でもあるダイワ精工とシマノが2大総合メーカーとして有名だ。この2社の平成19年度決算では、ダイワ精工は、釣具だけでは年商500億円ぐらい。ゴルフ用品やテニス用品なども扱っており、連結では年商600億円ぐらいの会社である。会社としてはシマノの方が大きく、主力は自転車部品で、年商は2100億円ほど。釣具だけだとこちらも約500億円で、ほぼ同格である。両者とも釣具部門は前期比14パーセントほどの増収で景気がいいが、どうやらいいのは輸出らしい。近頃は、経済的に豊かになってきた中国などのアジアやサハリンなどでも釣りをする人が増えてきて、輸出が増えているという。一方で釣具の製造についても、人件費の安い中国などへの工場進出が増え、国内の空洞化が進んでいる。釣りの仕掛けなどはほとんど手作りで、コスト削減には中国など人件費の安い国に頼らざるを得ないという。 日本の釣具のレベルは高く、世界一と言われている。例えば海の船釣りで、水深100メートルぐらいの深い釣り場では、モーターで仕掛けやオモリを巻き上げる電動リールがよく使われる。コンピューター内蔵で、さまざまな機能が付いたちょっとしたハイテク機器だ。日本ではとっくに普及しているが、欧米では最近になってようやく注目されるようになったという。それぐらい日本は先端をいっているのである。釣具は比較的市場規模が小さいことから、カーボン、ボロン、チタンなどの新素材のテスト市場としての役目も担い、先端を歩んできたという。大企業が副業的に参入にしているのも、そうした背景があるのかも知れない。その辺も、日本の釣具の技術や品質が世界一と呼ばれる所以なのだろう。(2008.4/24) 釣りと政治の意外な関係釣りと魚のよまやま話A ヤマミチ・マサカツ(ウイング サッポロ 2008年3月号掲載に一部加筆) (財)日本釣振興会(略称・日釣振=にっちょうしん)という釣り団体の北海道地区支部に所属して、ほとんどボランティアでさまざまな活動を行っている。活動内容は、稚魚の放流、釣り場の清掃、釣り教室や釣り大会の開催、釣りのルールやマナーの普及などである。
全国に47支部あり、本部は東京。会長は麻生太郎衆議院議員である。前々会長は亡くなった小渕恵三元首相だった。だからといって、自民党系の組織というわけではない。選挙応援などとも無縁である。釣魚議員連盟という釣りに理解のある国会議員で作る組織もある。会長は国民新党の綿貫民輔氏で、メンバーには自民党、民主党、公明党もいる超党派の組織である。釣りは、2000万人もの愛好者がいるといわれる国民的レジャー。一政党に偏らないのは当然である。日釣振は、釣りの振興のためにこの連盟に陳情活動などを行っている。 のんびりと釣り糸を垂れている姿からは想像しずらいが、政治や行政とは無関係のようでいて意外に密接な関わりがあるのだ。釣りに対する規制は直接的、あるいは間接的に強まりつつある。規制が強まれば、釣りが衰退するかも知れない。釣り界にとっては大問題にもなりかねない。 幻となった「北海道釣魚議員連盟」
釣りの直接の監督官庁は水産庁(北海道では道水産林務部)だが、環境省や、国土交通省、文部科学省などとも関係し、別の意味で釣りの奥深さを示している。近年では、環境省の外来生物規制の対象にブラックバスが上げられ、釣り業界が死活問題になると猛反発したのが記憶に新しい。しかし、一般のマスコミからも叩かれてイメージが悪くなり、愛好者も大幅に減ってしまった。幸い北海道はブラックバスの釣り場はなく、今後も必要ないということで、我々も同意したので大きな問題には至らなかった。その代わり、同じ外来生物であるニジマスは絶対に譲れないと陳情している。 また、国土交通省絡みでは、テロ対策と称して重要な港にフェンスが張り巡らされ、釣り人も締め出されてしまった。「外国のオンボロ漁船しか入らぬような田舎の港で、テロリストが一体何をするというのだ」というような首を傾げたくなる場所も多く、釣り人の不満が募っている。このほか、北海道においては釣りが許可制となるライセンス制の導入など、規制はさまざまで、政治的な対応を迫られるケースも多くなっている。今や釣り人も積極的に政治に関わり、物をいうべき時が来ていると思っている。欧米には、釣り人代表の国会議員もいると聞く。 何年か前に、道議のレベルでも釣魚議員連盟のような超党派で「北海道釣魚議員連盟」を作ってほしいと動いたことがある。民主党の先生方が積極的に動いてくれ、会長職に自民党の○○氏、事務局長に民主党の○○氏と具体的に名前まで上がって、設立寸前のところまで行ったが、なぜか急に自民党サイドの腰が引けてしまって、白紙に戻ってしまった。真相は闇の中だ。我々が、貧乏だからかなー。 ※釣魚議員連盟のメンバーには大臣経験者など有名政治家も多い。日釣振会長の麻生太郎議員はもちろん、北海道関係では町村信孝、橋本聖子議員。このほか堀内光男、伊吹文明、谷垣貞一、平沼赳夫、高村正彦、保利耕輔、加藤公一議員など、衆参合わせて41人が名を連ねている。(2008.3/8)
ウイングサッポロに原稿を掲載していただくのは、今回が初めてなので、少し私の経歴についてふれたい。新聞や雑誌などの記事・コピー作成や企画編集を請け負う会社を始めて22年になる。釣りの記事を書く仕事もその一つだ。確か1996年の暮れだったと思う。ある会合で「北海道には釣りの週刊紙がない。あったらもうかるかも」と、一人の人物に話したことがある。その翌年の秋になって、突然「釣りの週刊新聞やりましょう。編集長をやってもらえませんか」と、私に声が掛かった。忘れかけていたことだったので、いささか面食らったが、その人物こそ当時、道新スポーツの社長をしていた児玉芳明さんである。児玉さんは現在、コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブの社長。チームをJ1昇格へと導いた陰の立役者である。当時の道新スポーツは、本紙が頭打ちだったため、経営の多角化を模索していた。私は、映画の「釣りバカ日誌」を見るたびに、いつも出てくるシーンが頭から離れなかった。それは、主役のハマちゃんが仕事をさぼり、トイレの個室で釣り新聞を読むシーンだった。釣りのマスコミとしては、月刊誌はあったが、今何が釣れているのかというニーズにはなかなか応えられない。スポーツ紙や一般紙の毎週1ページ程度の情報では物足りなかった。「北海道にもあんな専門紙があったらいいな」とうらやましく思ったのだ。釣り好きの岡田監督にもインタビュー 北海道には、年に数回というような人も含めて、釣り人が60万人ぐらいいると言われていた。私は、その5パーセントが読んでくれたら、いけるかも知れないと踏んでいたが、責任の重さに躊躇した。「あなたができないと言うなら、この話はなくなります」とも言われ、そこまで期待されているならと、他の仕事をすべて断り、引き受けることにした。事前にリサーチも行い、経営陣は私の予測よりも、さらに堅く見積もって1万部ぐらいのペイラインをはじいていた。釣り新聞を出すにあたっては、社内に反対の声もあったようだ。特に組合は、労働強化につながると思ったのか冷たかった。新しいセクションに喜んでくるというような人物はいなかった。失敗したら、出世に影響すると思ったのかもしれない。しかも、外部の人間が編集長である。親会社の人間にも「どこの馬の骨…」と面と向って言われたこともある。スタッフ集めには苦労した。釣りはそこそこ知っているが原稿など書いたこともないという連中ばかりだった。すったもんだして、1998年の4月23日、「週刊釣り新聞ほっかいどう」の創刊号が発売された。道新の記事には、「爆発的な売れ行き」といった見出しが躍った。発売部数は私の予測に近いものだった。当然大もうけで、翌年道新スポーツは道内の法人所得番付の上位に踊り出た。「パソコンとか、何か部内で必要ななものはないか?」と、幹部の一人がうれしそうに聞きに来たのを今でも覚えている。組合のビラには「釣り新聞がもうかっているのだから、ボーナスを上げろ」と書いてあり、社員ではないスタッフたちは苦笑した。以来、私が体調を悪くして辞めるまで、ずっと黒字を維持し続けて「稼ぎ頭」と言われた。その後、スポーツ紙が斜陽傾向となる中、もしもあの時、児玉社長の先見の明と英断がなかったら、道新スポーツは大変なことになっていたかも知れない。釣り新聞時代には、釣りが好きということで、当時のコンサドーレの岡田監督に特別インタビューする機会もあった。手土産の釣竿に、子供のように感激してくれた。その岡田さんは、全日本チームの監督に請われて復帰。才能のある人を世間は放ってはおかない。二つの“再昇格”は、起こるべくして起きたという気がしてならない。
※コンサドーレはその後、財政問題も、なんとか周囲の理解が得られて一区切りついた。これもJ1への昇格があったからこそだろう。しかし、これからがまさに正念場。岡田ジャパンも、それは同様だ。しかし、テレビで見る岡田監督の、とくに負けたときの仏頂面は、相変わらず健在だ。岡田監督とか野村監督は、愛想が悪い方が安心できる?児玉社長は、人前で挨拶をさせたらピカイチで、いつもほれぼれして聞いていた。この弁舌が、協力者からの支援を取りつけるのに相当武器になっていると思う。とても紳士的な人で、女性からも好かれそう。以前、すすきのの若手美人芸者が、「児玉さんのためなら、死んでもいい」と言っているのを聞いたことがある。宴会の席で、嫌な客にしつこくからまれている時に、助けてもらったんだとか。東京での新聞記者時代に、ロッキード事件の渦中にあったあの田中角栄元首相への、周囲も驚く強烈な質問で伝説になっている人でもある。正義感の強い児玉社長ならではのエピソードである。(2008.2/24)
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